気ままな読書ノート

日本の小説を中心に読んだ本の感想を書いています。時々IT関連本や本の自炊の話題も。最近は自炊した書籍をiPhoneで再読することも多いです。

城山三郎

乗取り - 城山三郎

自炊してiPhoneで再読。 昭和20年代の高度成長期に実際に起こった百貨店乗っ取り事件をモデルにして創作された小説です。 旧態依然とした百貨店経営者側と株を買い占め乗っ取りを図る実業家青井との戦いを描いています。 地の利を生かしていないと憤慨し百貨…

男たちの経営 - 城山三郎

自炊して iPhone で再読。内容を完全に忘れていたので、初めて読むような新鮮さがありました。 花王の創業から始まり、同族経営から脱却し近代化するまでの実名企業小説。実名ということで、小説としては制約が多いためか、事実の羅列っぽい感じが否めません…

生命なき街 - 城山三郎

自炊してiPhoneで再読。 戦後日本の高度成長期におけるサラリーマン達の苦悩・悲哀を描いた短編集。 報われることがないまま幕を閉じる話が多い。逃げ出したくても逃げだすことも難しい厳しい時代に生きたこういった名もなき企業戦士達が日本を支えてきたん…

毎日が日曜日 - 城山三郎

再読。これを前に読んだのは大学生のころだったでしょうか。その時この本を読んでどういった感想をもったのか忘れてしまいましたが、働くということがどういったことか実感がなかったあの頃と今とでは大きく違っているような気がします。 閑職に追いやられな…

風雲に乗る

日本信販の創業者をモデルとした小説です。旅館の子として生まれた主人公が、さまざまな苦難を乗り越え、日本初で日本最大の信販会社を興したサクセスストーリーです。しかし、サクセスストーリー言うには、あまりにも厳しくつらい現実が立ちはだかり、「風…

辛酸―田中正造と足尾鉱毒事件

明治時代後半に実際にあった栃木県の足尾銅山公害事件を取り上げた作品。現在は渡良瀬遊水地になった栃木県下都賀郡谷中村の人々が理不尽な立ち退きを命じられ、それに抵抗する村人たちとそれを支援した田中正造の凄まじい生き様を描いています。それにして…

零からの栄光

紫電改といった軍用機を開発した川西航空機(現・新明和工業)の物語です。 前半は、二式大艇、紫電改の開発秘話。そして後半(戦後)は、PS飛行艇の開発秘話。 後半の、新明和工業が企業として利益を上げるために変わらざるを得なかったくだりは、ビジネス…

男子の本懐

昭和初期に金解禁という困難な政策に取り組んだ浜口雄幸と井上準之助という二人の政治家の生き様を描いた小説。日本は、第一次大戦時に「金本位制」を停止し、その後、歴代内閣が先送りしてきた難しい金解禁をやりぬく二人のエネルギーには、ただただ脱帽す…

もう、きみには頼まない―石坂泰三の世界

第一生命、東芝社長を歴任、高度成長期に長年、経団連会長を務め、"日本の陰の総理""財界総理"と謳われた、気骨ある財界人の生涯を描いた長篇小説。現役の大蔵大臣や総理大臣に「もうきみには頼まない」と啖呵を切れる気骨のある人物の生き方に触れるのは本…

粗にして野だが卑ではない

78才という高齢ながら財界人として初めて国鉄総裁の職に付いた石田禮助氏の生涯を描いた城山三郎の小説。「ずいぶんと多勢の人に仕えたが、あんな気持ちのいい人はいない。毎朝、石田さんに会うのが楽しみだった。生涯、あの人ほどの人物に会うことはないだ…