気ままな読書ノート

日本の小説を中心に読んだ本の感想を書いています。時々IT関連本や本の自炊の話題も。最近は自炊した書籍をiPhoneで再読することも多いです。

筒井康隆

歌と饒舌の戦記 - 筒井康隆

自炊してiPhoneで再読。 アメリカとソ連のトップが裏取引をしソ連軍が北海道に攻めてくるという現実ではあり得ない設定のお話。そんなだから当然米軍は助けに来ない。日本の自衛隊も役に立たない。日本はゲリラ戦でソ連に対抗するが... 1980年代当時の出来事…

聖痕 - 筒井康隆

現代文の中に古語や枕詞を多用した文章が異彩を放っています。一つの段落が異常に長いのも特徴。随分前に、筒井氏が「」付きの会話でどんどん改行しページ数を稼ぐのはけしからん、というようなことをどこかで書いていたような気がしますが、その主張を徹底…

わたしのグランパ - 筒井康隆

筒井康隆の作品にしてはあっさりしている気もしましたが、とても読みやすく、楽しめる作品でした。後半に筒井作品らしさがちょっとだけ出てきて、このまま暴走してしまうのか、と危惧(期待?)しましたが、この作品の雰囲気を壊さない程度のものだったので却…

霊長類 南へ - 筒井康隆

再読。全面核戦争で人類が滅亡する話で、パニック状態に陥った人間達の愚かさ醜さ残酷さを扱った筒井流喜劇。40年以上前に書かれた作品だけれど、まったく古さは感じない。ここに描かれている話は、核戦争で人類が滅亡する話であるにも関わらず、実にばかば…

富豪刑事 - 筒井康隆

とても楽しめました。TVドラマでは深田恭子が主人公でしたが、原作では、男性の刑事が主人公です。大富豪の息子である神戸大助(刑事)が、大金を実に効果的?に使い、事件を次々と解決して行きます。収められている4作どれもが、お金の使い方が独創的で、事件…

旅のラゴス - 筒井 康隆

とにかく濃密な本です。二百数十ページの中に主人公ラゴスの人生が詰まっています。いつまでも旅を続けるラゴスにうらやましさと憧れを抱きつつ、最後のページを閉じました。描かれている世界観も良いし、とても面白かったです。特に書物を読みあさる日々を…

暗黒世界のオデッセイ - 筒井康隆

これは筒井氏のエッセイ&漫画集。表題の基となった「二〇〇一年暗黒世界のオデッセイ」は、昭和49年時点での日本の未来予想です。予想によれば、かなり悲惨な状況として描かれていますが、2010年の今もそれほどひどい状況にはなっていなくて、予想が外…

笑うな - 筒井康隆

筒井康隆のショートショート集。240ページの中に34編の作品が詰め込んであります。久しぶりに読み返してみました。シニカルな作品、ブラックユーモアな作品、ナンセンスで馬鹿馬鹿しい作品、ちょっとノスタルジックな雰囲気の作品など様々なジャンルのショ…

エディプスの恋人 - 筒井康隆

七瀬シリーズ三部作の完結編。前作とはまた違った作品。筒井康隆の本を開いてまず感じることは1ページの中に文字がびっしりとあるということです。他の作家の作品と比べるその違いが一目瞭然です。たとえば、会話。普通ならば、会話ごとに改行するのですが…

七瀬ふたたび - 筒井康隆

『家族八景』に続く、七瀬シリーズの第2弾。若い頃読んだ作品を再度読み直してみました。前作は、連作短編という形態でしたが、『七瀬ふたたび』は長編ものとなっています。精神感応能力(テレパシー)である主人公七瀬が、他人にそのことを知られるのを恐れ…

家族八景 - 筒井康隆

『七瀬ふたたび』 『エディプスの恋人』と続く七瀬シリーズ三部作の1作目。生まれながらに人の心を読むことができる能力を持ち、それゆえに一目に付かず、ひっそりと生きたいと願っている彼女が、「お手伝いさん」として入った8つの家族の悲喜劇を描いてい…