気ままな読書ノート

日本の小説を中心に読んだ本の感想を書いています。時々IT関連本や本の自炊の話題も。最近は自炊した書籍をiPhoneで再読することも多いです。

人質カノン - 宮部みゆき

長編もいいけど、短編も良いですね。まさに「山椒は小粒でぴりりと辛い」といった7つの作品が収められています。その中で一番好きなのは、「八月の雪」かな。片足の不自由な引きこもりの充少年が、おじいちゃんの過去を調べてゆくことで、生きる意味、生きる価値を見出してゆくというストーリー。充少年と、祖父の友達である柴田老人との会話がとても好きです。そして、「ああ、これで充少年も前を向いて生きてゆけるんだな」と思わせるラストシーンも印象的です。
もうひとつ印象的なのが「生者の特権」。これもとても良いですね。宮部みゆきの暖かさをしみじみと感じることの出来る作品です。

人質カノン (文春文庫)

人質カノン (文春文庫)