気ままな読書ノート

日本の小説を中心に読んだ本の感想を書いています。時々IT関連本や本の自炊の話題も。最近は自炊した書籍をiPhoneで再読することも多いです。

算学奇人伝 - 永井義男

「算学」とは江戸時代に発達した和算のことです。「江戸時代を舞台にした斬新な数学ミステリー」という本の帯の通り、ミステリー好きにも、数学好きにも楽しめる一冊です。ところどころ、図や表で算学問題の問題や解説があるなど、僕が読んだ小説の中ではかなり異色の本だと思います。
開高健賞正賞を受賞した作品で、開高健賞の審査員たちは、関孝和の流れを汲む算学の達人である主人公の「吉井長七」を、てっきり実在の人物だと思ったというくらいで、「吉井長七」の人物像が良く描けていると思います。
ただ、ミステリー部分にもう少し力を入れて書いてくれるともっと楽しめたと思います。

算学奇人伝

算学奇人伝