気ままな読書ノート

日本の小説を中心に読んだ本の感想を書いています。時々IT関連本や本の自炊の話題も。最近は自炊した書籍をiPhoneで再読することも多いです。

ぼんくら(上) - 宮部みゆき

江戸、深川の鉄瓶長屋で起こるちょっと変わった事件の謎を、ぼんくら同心・平四郎と美少年の甥・弓之助が探るミステリー。
この本の目次を見ると上巻は、「殺し屋」「博打うち」「通い番頭」「ひさぐ女」「拝む男」「長い影(一〜六)」、下巻は「長い影(七〜十三)」「幽霊」」となっています。
まだ、上巻しか読んでいませんが、物語全体の構成からすると、「拝む男」まではプロローグで、「長い影」が本編、「幽霊」がエピローグなのでしょう。実にプロローグ(上巻の半分のページを占めている)が長いお話です。でもそのプロローグがどれも一つの独立した短編小説になっていて、読み応えのあるものばかりです。
まったくの予備知識なしに読み始めたために、始めは、連作形式の短編集の割には、なぜ、「長い影」という長い物語があるのか、不思議に思っていましたが、「長い影」を読み始めて合点した次第です。
そうか、そういう事だったのか、やはり宮部みゆきは、期待以上の驚きを僕に与えてくれます。
プロローグのほんの些細な出来事が、すべて、本編に絡んでくるという構成は、さすがという他ありません。
下巻を読むのが楽しみです。

ぼんくら(上) (講談社文庫)

ぼんくら(上) (講談社文庫)