気ままな読書ノート

日本の小説を中心に読んだ本の感想を書いています。時々IT関連本や本の自炊の話題も。最近は自炊した書籍をiPhoneで再読することも多いです。

暁のひかり - 藤沢周平

江戸の市井の人々の哀しい切ない話を収めた短編集。
いちばん心に残ったのは、表題作の「暁のひかり」。
一生懸命に歩く訓練をしている足の悪い少女に出会ったことで、少しづつ堅気な気持ちになってゆく博徒の市蔵。しかし、その少女をからかっている悪党を懲らしめたことがきっかけで、哀しい結末が。

どうして、想いは通じないのか?
どうして、心にかけてくれる人がいるのに、堕ちてゆくのか?
どうして、幸せになろうと努力している人が幸せになれないのか?
読み終えると気が滅入ってしまう作品が多いですが、妙に心に残ります。

唯一「しぶとい連中」は、どことなく滑稽で、思わず笑いが出てしまいます。この中では異色の作品でした。

暁のひかり (文春文庫)

暁のひかり (文春文庫)