気ままな読書ノート

日本の小説を中心に読んだ本の感想を書いています。時々IT関連本や本の自炊の話題も。最近は自炊した書籍をiPhoneで再読することも多いです。

ウェブ人間論

『Web進化論』を書いた梅田望夫氏と作家の平野啓一郎氏の対談。
Webの進化によって、人々の行動がどう変わるのか、生活がどうかわるのか、価値観がどう変わるのか、人の本質は変わるのか、といったことが対話の基本にあり、熱い対談が進んでいきます。
対話の中で、二人の考え方がや視点の相違が明らかになり、その対比が面白かったですね。
でも、『Web進化論』のような新鮮な驚きというものはありませんでしたし、構造化された内容ではないので、何を伝えたいのかという点もちょっと分かりにくかったかなと思います。

梅田氏が言うように、確かに、僕自身の仕事のやり方とか、生活がなどもここ数年で大きく変わったように思います。
雑誌は買わなくなったし、辞書も引かなくなりました。何かをやろうとした場合、googleで検索することから始まりますし、ブログ、SNS、メルマガ、ネットオークション、ネットショッピング、ネットバンキング...
十年前なら考えられなかったことばかりです。

これから、さらに大きな変化が起こったときに、いったい、人の生活はどう変わるのか、ちょっと想像することができません。ただ、良い事ばかりではないはずです。光があれば、影があります。その影の部分をどうするのかもひとつの大きなテーマになってくると思われます。

僕がもっとも同意したのは、この本の前半に出てくる「日本がネット世界で孤立する」「自動翻訳の難しさ」っていう話です。僕自身も新しい情報を入手する上で、言葉の壁の大きさを常に感じています。
かといって、自動翻訳は、実用化にはほど遠い状態で、技術的課題が急に解決するとは
思えません。
当然、情報の発信も受信コミュニケーションもネット上の人脈も日本国内に限られてしまいます。「物」を作るうえでは言葉の壁は小さかったため日本に製造業は世界に進出することができましたが、「情報」が主役になった場合は、製造業とおなじように上手くいくとは、思えません。組織の問題ではなく、まさに個々の人間の問題なのですから。

ウェブ人間論 (新潮新書)

ウェブ人間論 (新潮新書)