気ままな読書ノート

日本の小説を中心に読んだ本の感想を書いています。時々IT関連本や本の自炊の話題も。最近は自炊した書籍をiPhoneで再読することも多いです。

地下鉄(メトロ)に乗って - 浅田次郎


この小説は最近映画にもなっていますが、その内容をほとんど知らずに購入しました。もちろん、昭和初期にタイムスリップするという程度の情報は持っていましたが、想像とはかなり違っていました。もっと、ほのぼのとしたお話かなと思っていました。
ネタばれになってしまいますが、父子愛が主なテーマであり、そこに哀しい男女の愛が絡んでくるという設定で、最後は、切ない気持ちと清清しい気持ちがないまぜになった不思議な余韻をもたらしてくれるそんなお話です。
自分が生まれる前の若いころの父親ってどんなだったんだろう、どんな人生を歩んできたのだろう、そんなことを考えさせてくれます。
ただ、主人公の父の印象が、若いころと歳を取ってからとで、ちょっと違いすぎるのが気になりました。どうして、父親が変わってしまったのかのエピソードなどがあればよかったかななんて思いいます。
同じ男性を子供の目から見た場合と、客観的な目でみた場合とでは、その感じ方が違うというのは分かりますが...
ちょっと批判めいたことを書いてしまいましたが、とても良い作品であることは間違いありません。

地下鉄に乗って (講談社文庫)

地下鉄に乗って (講談社文庫)