気ままな読書ノート

日本の小説を中心に読んだ本の感想を書いています。時々IT関連本や本の自炊の話題も。最近は自炊した書籍をiPhoneで再読することも多いです。

諸葛孔明(上) - 陳舜臣

三国志」の登場人物のなかでも人気の高い諸葛孔明の一生を描いた小説です。
上巻は、孔明が生まれてから、赤壁の戦いまでが描かれていますが、有名な「三顧の礼」によって劉備玄徳に迎えられるまでにかなりのページを割き、その時代背景と彼の成長する過程が丹念に描かれていて、三国志に詳しくない人でも十分に楽しめる内容になっていると思います。
ただ、もうすこし詳しい地図と、登場人物の紹介が巻頭にあると、読む助けになってくれると思います。

戦闘シーンは意識的に排除しているようで、血沸き肉踊る展開を期待していると、肩透かしを食らうことになりますが、その分、孔明らの心の動きが丁寧に描かれており、等身大の英雄を感じることができると思います。

諸葛孔明〈上〉 (中公文庫)

諸葛孔明〈上〉 (中公文庫)