気ままな読書ノート

日本の小説を中心に読んだ本の感想を書いています。時々IT関連本や本の自炊の話題も。最近は自炊した書籍をiPhoneで再読することも多いです。

幻色江戸ごよみ - 宮部みゆき

12編の短編が収められている時代もの。
どれも、内容濃いです。読後の余韻を12回味わえるとてもお得な作品集ですね。
『幻色』の名が示すとおり、ホラー的な要素を取り入れたものが多いですが、すべてがホラー的かというとそんなことはありません。
作者の暖かさがそのままにじみ出ている作品もあれば、世の中はなんて不条理なんだろうと思わずにはいられないそんな作品もあり、バラエティに富んでいます。
どれも良いですが、器量のぞみ、神無月、紙吹雪が僕のお気に入り。特に神無月は、とても短い作品ですが、淡々とした語り口がとても効果的。そして、読み終わったときは、なんとなく『火車』時の余韻を思い出してしまいました。

幻色江戸ごよみ (新潮文庫)

幻色江戸ごよみ (新潮文庫)