気ままな読書ノート

日本の小説を中心に読んだ本の感想を書いています。時々IT関連本や本の自炊の話題も。最近は自炊した書籍をiPhoneで再読することも多いです。

博士の異常な発明 - 清水義範

マッド・サイエンティスト達の異常な発明を扱った連作短編集です。
とても風変わりな小説です。風刺が効いたSFユーモア小説?と分類したらよいのでしょうか。とにかく面白いです。
8つの短編集のなかで、一番可笑しかったのは、「袁孫の発明」。
中国・唐の時代の皇帝のお抱え発明家である袁孫が、次々と時代を先取り?する発明をします。
今で言えば、万年筆、録音機、アニメーション、2進法などなど、それらの発明品をめぐっての皇帝とのやり取りがとにかく可笑しいです。
またた、ところどころに出てくる漢文に振られたメチャクチャな訳がさらに笑いを誘います。

その他、ポリエチレンを分解するポリクイ菌の発明で、文明が崩壊する話「文明崩壊の日」。
日本沈没から1万年後に再浮上し発見された日本の遺跡に関する考古学者たちの対談「鼎談 日本遺跡考古学の世界」。
愛玩犬ロボットが野良犬化する話「野良愛慕異聞」。
不老不死の発明をしたにも関わらず、脳出血を起こし、発明の詳細を思い出せない老医学博士の話「見果てぬ夢」。
など、どれも楽しめました。

博士の異常な発明 (集英社文庫)

博士の異常な発明 (集英社文庫)