青い小さな葡萄 - 遠藤周作
遠藤周作の初期の純文学作品。
この作品は、敗戦国である日本とドイツの青年が救いを求め、「青い小さな葡萄(神、善意の象徴)」を追い求める物語です。
日本人、ドイツ人という理由だけで迫害を受ける彼らは、「青い小さな葡萄」を探すことで救いを得ようとしますが、そこで見つけたものは、善意ではなく、人間の醜さでした。
それは、人間の正義の象徴と位置づけられている抗独運動(ナチズムとの戦い)の中にも、醜く非道徳的な行為が行なわれていたという事実。結局、青い小さな葡萄はどこにもなかったわけです。
キリスト教徒でない僕には、この話をどう解釈してよいか分からない部分もありますが、ドイツの若者の苦悩『なぜ、俺をこのような時代に生まれさせたのですか。なぜあなたは人々が殺し合い苦しみあう有様を黙って見ていられるのですがか。... あなたは黙っていらっしゃる。あなたはいつも黙っていらっしゃる・・・・・・』この部分は、強く心がひきつけられます。
どこかに救いを求める気持ちや安らぎを得たいという気持ちがあるからなのかも知れません。
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