気ままな読書ノート

日本の小説を中心に読んだ本の感想を書いています。時々IT関連本や本の自炊の話題も。最近は自炊した書籍をiPhoneで再読することも多いです。

希望の国のエクソダス - 村上龍

この本は、日本の現状、教育制度に絶望した中学生80万人がいっせいに登校を拒否し、インターネットを駆使したビジネスを展開し、自分達の理想の国を作り上げようとする物語です。
こう書くとものすごく荒唐無稽なお話と感じるかもしれませんが、実際に読んでみると、調査と取材に多くの時間を費やしたということで、現代の日本が抱えている問題を浮き彫りにした、かなりリアリティのある小説に仕上がっていると思います。
中学生がいうセリフ「この国には何でもある。でも、希望だけがない」は、まさに今の日本を端的に表している言葉であり、2000年に出版された本ではありますが、本書の問題提起は、今のわれわれに突きつけられていると言えると思います。
近未来小説にありがちな、現実との乖離は多少ありますが、気になるほどのものはありません。
ちなみに、ウィキペディアWikipedia)』によれば、"エクソダス"とは、「旧約聖書にある出エジプト記。転じて大量の国外脱出をいう」ということだそうです。

希望の国のエクソダス (文春文庫)

希望の国のエクソダス (文春文庫)