気ままな読書ノート

日本の小説を中心に読んだ本の感想を書いています。時々IT関連本や本の自炊の話題も。最近は自炊した書籍をiPhoneで再読することも多いです。

天才の栄光と挫折―数学者列伝


国家の品格』の著者として知られる数学者・藤原正彦氏が書いたノンフィクション作品。
著者が尊敬する9人の天才数学者たち(ニュートン、関孝和、ガロワ、ハミルトン、コワレフスカヤ、ラマヌジャンチューリング、ワイル、ワイルズ)の人生を綴っています。

あとがきにあるように、彼らも僕たちと同じような人間であると同時に、まさに、栄光が輝かしくあればあるほど、底知れぬ孤独や挫折や失意に見舞われているそんな人生がここにはありました。
彼らは何の努力もなしに輝かしい功績を残したのではなく、凡人にはまねのできない努力と集中力の賜物だということが、あらためてわかりました。
難しい数式などは一切出てこないので、数学の得意でない方も十分に楽しめる内容になっていると思います。

この9人のなかで、最も興味を引いたのは、関孝和の章でした。関孝和という和算学者の名前は知っていましたが、恥ずかしながら、これほどまでのことを成し遂げた人とは知りませんでした。日本人に独創性がないというのは全くの風評だということが、これを読めばよくわかります。

僕は新書版で読みましたが、文庫本には、小川洋子さんの解説が載っているということなので、これから読む方は文庫本をお勧めします。
(購入し、積読のまま放っておいたら、文庫版が出てしまいました)

天才の栄光と挫折―数学者列伝 (文春文庫)

天才の栄光と挫折―数学者列伝 (文春文庫)