気ままな読書ノート

日本の小説を中心に読んだ本の感想を書いています。時々IT関連本や本の自炊の話題も。最近は自炊した書籍をiPhoneで再読することも多いです。

沈黙 - 遠藤周作

非常に重い作品です。
キリシタン弾圧に対し、沈黙し続ける神。
なぜ神はこのような事態を放っておくのか、なぜ彼らは死んでいかなければならないのか。
神はいるのか。この問に答えるのは無宗教の僕には難しい問題です。

未来の見えない状況でいったい作者はどういう結末をもってくるのだろう。そんな疑問を持ちながら読み進めました。
ロドリゴ司教が最後に聞いた「声」に、遠藤周作氏が伝えたかったすべてがあるように思います。

弱い者の心を赦し、救ってくれる存在は人とのつながりが希薄になった現代人にこそ必要な存在なのかもしれない、そんな風に感じました。
心が揺さぶられる遠藤周作の傑作だと思います。

沈黙 (新潮文庫)

沈黙 (新潮文庫)