気ままな読書ノート

日本の小説を中心に読んだ本の感想を書いています。時々IT関連本や本の自炊の話題も。最近は自炊した書籍をiPhoneで再読することも多いです。

門 - 夏目漱石

『三四郎』 - 『それから』 -『門』 と続く3部作の最後の作品ですが、『それから』を飛ばして読んでしまいました。
前半は、残念ながらぐいぐいと物語の中にに引っ張り込む力を感じませんでした。
後半になり、この夫婦に何があったのかがわかり、やっと僕の心も動きました。

くぐるべき門はあるのに、その門をくぐることができないという状況は、大なり小なりだれもが経験するものだと思う。だからこそ、宗助の心情がよく伝わってくる。宗助は、結局、門の前で(妻にもなにも言えず)一人苦悩し続けることになるのだろうか。
今のままで良い訳が無い、でも前にも進めない、答えがないこの問題には、漱石自身も答えを出さずに、話を締めくくったようです。

門 (新潮文庫)

門 (新潮文庫)