気ままな読書ノート

日本の小説を中心に読んだ本の感想を書いています。時々IT関連本や本の自炊の話題も。最近は自炊した書籍をiPhoneで再読することも多いです。

悲しみの歌 - 遠藤周作

若い頃読んだのを再読。
「海と毒薬」の続編と言われる作品で、戦時中に人体実験に参加した勝呂医師のその後を描いています。
読んでいて、辛く苦しくそして哀しくなる作品ですが、ページをめくることはやめられない、そんな力を持っています。

「海と毒薬」から30年、罪の意識に苦しめられ疲れはて生きる希望を見いだせない勝呂医師。勝呂医師の過去を穿り出し新聞記事にする正義を振りかざす折戸。そして、人の悲しみを自分の悲しみと感じ、人を赦し救いたいと感じるフランス人のガストン。この三人の対比が秀逸だと思います。
人を裁く事、人を赦す事の意味について考えさせられます。
先の見えない今だからこそ読んでほしい作品です。

悲しみの歌 (新潮文庫)

悲しみの歌 (新潮文庫)