気ままな読書ノート

日本の小説を中心に読んだ本の感想を書いています。時々IT関連本や本の自炊の話題も。最近は自炊した書籍をiPhoneで再読することも多いです。

闇の傀儡師 (上下巻) - 藤沢周平

ひょんなことから公儀隠密から松平家へ密書を託された剣の達人・鶴見源次郎が、政争に巻き込まれてゆく伝奇時代小説。

上巻は、将軍徳川家の世継ぎをめぐって暗躍する組織八嶽党との対決が見所です。

主人公・源次郎と八嶽党がとんな対決をし決着を付けるのか楽しみ!と思ってたら、下巻をでは八嶽党との対決とはちょっと違う展開に。直球が来ると期待していたら思わぬ変化球が来た感じ。でもそれはそれで面白い。

老剣客の興津と赤石の戦いや、八嶽党と公儀隠密との戦い、幕府内の権力争い、都留との恋物語など、読ませるエピソードが盛りだくさん。娯楽小説として十分に楽しめました。

でも、ちょっとラストの詰めが甘いような印象を受けました。最後の主人公源次郎と八木典膳の戦いをもっと盛り上げてほしかったな。

今まで読んだ藤沢作品(といっても5冊だけですが)と比べるとハラハラドキドキの展開でエンターテイメント色が一番強い作品のように感じました。