気ままな読書ノート

日本の小説を中心に読んだ本の感想を書いています。時々IT関連本や本の自炊の話題も。最近は自炊した書籍をiPhoneで再読することも多いです。

いちばん大事なこと 養老教授の環境論 - 養老孟司

虫の分布が日本列島が変化してきた歴史と密接な関係を持っているというのは、ちょっとしたコロンブスの卵だった。

それにしても、いち早く都市化し森を草原に変えたイギリスでは、虫の標本を管理することができて、一方、自然と共生してきた日本ではそれが出来ていないというのは、なんとも皮肉なことだ。システム思考力の弱さが原因なのか?

環境問題の重要性は理解できても、どうするのかそれは難しい。環境問題こそ最大の政治問題だと養老さんが言う通り、一個人では如何ともしがたい。養老さんの都会と田舎を行き来する参勤交代論は、極論ではあるが的を得ていると思う。

最後の言葉「学ぶとは,自分が変わることである。... 生きるに値しない世界をつくって、そこで長生きしてみて、それがどうだと言うのだ。それがどのような世界であれ,世界を創り出しているのは,結局はわれわれ自身なのである。」は、心に重くのしかかる。

いちばん大事なこと ―養老教授の環境論 (集英社新書)

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