桜ほうさら - 宮部みゆき
宮部みゆきの時代小説は、程よい軽さと緊張感のバランスが良く、すいすいと読んで行けます。
人間の心の闇を描いた最終話の盛り上がり方、緊迫感はさすがです。主人公・笙之介と和香の会話がこころを和ませてくれますし、あのエピソードがここに繋がってくるのかーという驚きも用意されていて、とても面白い作品でした。
しかしながら、いくつか不満も残る作品でした。
ひとつ目は、搗根藩の御家騒動の詳細がうすぼんやりしていて良くわからなかったこと。僕の読み込みが足りないからかもしれないけど、これってこの物語の重要な位置を占めると思うんだけどな〜。
ふたつ目は、第二話「三八野愛郷録」での暗号の解読方法が説明されないまま終わってしまったこと。あの話の展開でそれは無いでしょ、という感じです。