村田エフェンディ滞土録 - 梨木香歩
今から約100年前、考古学研究のためにトルコに留学した村田青年の下宿先での様々な出来事が不思議な雰囲気で描かれれている小説。
風習、文化、宗教の違いを超えて、トルコ人、ギリシャ人、ドイツ人、イギリス人などとの交流が、静かに淡々と語られていきます。そのため、読んでいて、途中ちょっと集中力が途切れてしまったところも有りましたが、終盤の話の展開にはぐっと引きつけられました。『家守綺譚』の高堂・綿貫もすこしだけ登場のも嬉しい。
そして、最後の短い3行で、完全にやられました。これまでの様々なエピソードが走馬灯のように頭を駆け巡り、不思議な余韻を残してくれました。今もその余韻に浸ってます。