気ままな読書ノート

日本の小説を中心に読んだ本の感想を書いています。時々IT関連本や本の自炊の話題も。最近は自炊した書籍をiPhoneで再読することも多いです。

楠の実が熟すまで - 諸田玲子

何年も前から読みたい本リストにあった本です。やっと読みました。諸田玲子さんの作品を読むのはこれが最初です。期待に違わぬ出来でしたね。

最初の3つの殺人事件のエピソードが終わり、しばらくしてからも主人公は誰?の状態でしたが、利津が登場し一気に物語が面白くなりました。

時代は江戸時代中期。御徒目付を務める伯父に命じられ、公家たちの経費支出の不正捜査のために、京の下級公家に嫁いだ21歳の利津の姿を描いています。

ミステリーと恋愛ものがバランスよく構成されているし、たんなる正義と悪という対立ではなく、主人公利津の揺れ動く心の機微が描かれていれ実に良い。お約束通り(?)のラストで読後感もすっきりです。

 

楠の実が熟すまで (角川文庫)

楠の実が熟すまで (角川文庫)