気ままな読書ノート

日本の小説を中心に読んだ本の感想を書いています。時々IT関連本や本の自炊の話題も。最近は自炊した書籍をiPhoneで再読することも多いです。

心中天浦島 - 栗本薫

iPhoneで自炊して再読。

6編のSF短編が収められています。リンクを貼った新装版には、もうひとつの作品「ファースト・コンタクトの終わり」が収められていますが、それは読んでいません。

全体的にちょっとパンチ力に欠けるかなという気がしますが、完全に内容を忘れていたので、昔懐かしの(中高生が喜びそうな)SFをそれなりに楽しめました。

その中でもウラシマ効果の悲劇を扱った表題作「心中天浦島」は、世代間の断絶をSF的にうまく調理していてい、とても興味深く読みました。ハッピーエンド的要素を入れてくれても良かったかなと思いますが、あの流れだとそうもいかないかな。

また「ステファンの六つ子」と「黒い明日」の対比も良かったですね。新しい生命の息吹を感じさせてくれる「ステファンの六つ子」は、その後の話を膨らませて長編にしてほしい内容でした。 

心中天浦島 (ハヤカワ文庫JA)

心中天浦島 (ハヤカワ文庫JA)