自炊してiPhoneで再読。
遠藤周作の初期の短編集。11の短編が収められています。どれも人の心の闇や罪深さを題材にしています。それは決して悪に満ち満ちている人ではなく皆普通の弱い人々です。どの話も重く僕の心にのしかかってきました。
その中でも、マゾヒストとして堕ちてゆく若い画家を扱った表題作の「月光のドミナ」、戦地で人を殺害し心に傷を負い足が動かなくなった男を扱った「松葉杖の男」、入院中の出来事を綴った「葡萄」が特に心に残りました。
戦中、戦後を体験した作者だからこそ描ける話が多かったように思います。