気ままな読書ノート

日本の小説を中心に読んだ本の感想を書いています。時々IT関連本や本の自炊の話題も。最近は自炊した書籍をiPhoneで再読することも多いです。

非道、行ずべからず - 松井今朝子

江戸時代の歌舞伎の世界を題材にしたミステリー。

歌舞伎にはほとんど縁のない僕ですが、当時の芝居小屋に関わる人々が生き生きと描かれてていとても面白かったです。いわゆる主人公が居ない小説ですが、事件に関わる登場人物達それぞれの心の動きが丁寧に描かれていて、その都度その都度感情移入することができました。

ミステリーとしても最後まで犯人が分からず、興味が途切れる事無く読み切ることができました。

この作品の主題は、「芸の道」を極めることと、「人の道」から外れないことが相反したら、ひとはどう行動するのかということ。... 難問です。芸の道の厳しさが伝わってきました。

それと、人生経験の豊富な町方同心の笹岡と、その下で働く真っ直ぐな若者の理一郎の対比が実によかったです。

 

非道、行ずべからず (集英社文庫)

非道、行ずべからず (集英社文庫)