気ままな読書ノート

日本の小説を中心に読んだ本の感想を書いています。時々IT関連本や本の自炊の話題も。最近は自炊した書籍をiPhoneで再読することも多いです。

人質の朗読会 - 小川洋子

地球の裏側で反政府ゲリラによって拉致された8名の日本人が、いつ死を迎えるかわからない状況で、人生のなかの印象的な出来事を語りだします。極限状態にいる彼らが淡々と語る物語に心打たれます。実に小川洋子さんらしい作品だと思いました。

心に残ったのは「やまびこビスケット」「B談話室」「コンソメスープ名人」。それと、この拉致現場を盗聴していた政府軍兵士が語る、もうひとつの物語「ハキリアリ」も。

僕には彼らのように語る物語があるのかな?そんな疑問にとらわれました。ささいな出来事を人生のなかの大切な思い出にできるかどうかは自分自身の問題なのだなーとしみじみと思います。

静かな感動を運んでくる慈しみに満ちたこの作品オススメの本です。

 

人質の朗読会 (中公文庫)

人質の朗読会 (中公文庫)