鹿の王 (下) - 上橋菜穂子
下巻も読むのに苦労しました。漢字にへんなカタカナ読みを振ってあるのは随分となれましたが、多くの民族と多くの登場人物、それぞれが複雑に絡まっているので、誰がどういった立ち位置なのかが把握し難かったです。たぶん作者はそういった複雑に絡み合った世界で懸命に生きようとする人々を描きたかったのだろうと思いますが、誰が善で誰が悪かという単純な世界ではないため、自分がどの視点でこの物語を読んだらいいかよくわからなかったのもその理由かもしれません。
それでも最後は、鹿の王となった主人公ヴァンの姿に心を動かされました。
一番読み応えがあったのは、ホッサル、ヴァン、ミラル、サエの4人で、なぜ人は病むのかについて語り合う場面。たぶんこれって他の人とは違ってるんだろうなと思います。
あくまでも個人的な意見ですが、確かに面白いといえば面白いのですが、大絶賛している人が多い割には、僕には何か物足りない気がしました。