気ままな読書ノート

日本の小説を中心に読んだ本の感想を書いています。時々IT関連本や本の自炊の話題も。最近は自炊した書籍をiPhoneで再読することも多いです。

2015年に読んだ本のまとめ

2015年に読んだ本は48冊。ちょうど1ヶ月に4冊、僕としてはかなりいいペースで読むことができました。

 

心に残ったベスト5は以下の5作品。

  1. ナオミとカナコ - 奥田英朗
  2. 邂逅の森 - 熊谷達也
  3. 槐(エンジュ) - 月村了衛
  4. 模倣犯 - 宮部みゆき
  5. 鉄の骨 - 池井戸潤

 『ナオミとカナコ』は、来年TVドラマ化されるようなので、ぜひ見たいと思います。

 

以下の作品も捨て難い。

 

本屋大賞になった『鹿の王』も読みましたが、僕にとっては、全然大賞ではありませんでした。

なお、2016年はすこし読むペースを落とそうかと考えています。30冊くらい読めればいいかな。

以下、読んだ本のすべての一覧(順不同)です。

内訳は小説が44冊、その他4冊。小説は10冊が若いころ読んだ本の再読です。

  1. 用心棒日月抄 - 藤沢周平
  2. 孤剣―用心棒日月抄 - 藤沢周平
  3. 秋月記 - 葉室麟
  4. 非道、行ずべからず - 松井今朝子
  5. 邂逅の森 - 熊谷達也
  6. 小さいおうち - 中島京子
  7. 長いお別れ - 中島京子
  8. ナオミとカナコ - 奥田英朗
  9. 姫神 - 安部龍太郎
  10. 森は知っている - 吉田修一
  11. 鉄の骨 - 池井戸潤
  12. 人質の朗読会 - 小川洋子
  13. 魔法飛行 - 加納朋子
  14. 鹿の王 (上) - 上橋菜穂子
  15. 鹿の王 (下) - 上橋菜穂子
  16. 槐(エンジュ) - 月村了衛
  17. サラバ! 上 - 西加奈子
  18. 平凡 - 角田光代
  19. 一人っ子同盟 - 重松清
  20. レオナルドの扉 - 真保裕一
  21. キサトア - 小路幸也
  22. フォルトゥナの瞳 - 百田尚樹
  23. 風の中のマリア - 百田尚樹
  24. NO.6 ♯9 - あさのあつこ
  25. 未来へ・・・・・・ - 新井素子
  26. アイ・アム I am . - 菅浩江
  27. 過ぎ去りし王国の城 - 宮部みゆき
  28. 荒神 - 宮部みゆき
  29. ペテロの葬列 - 宮部みゆき
  30. 模倣犯5 - 宮部みゆき
  31. 模倣犯4 - 宮部みゆき
  32. 模倣犯3 - 宮部みゆき
  33. 模倣犯2 - 宮部みゆき
  34. 模倣犯1 - 宮部みゆき
  35. マイ国家 - 星新一
  36. 夢魔の標的 - 星新一
  37. 日本アパッチ族 -
  38. 小松左京 夢からの脱走 - 小松左京
  39. 歌と饒舌の戦記 - 筒井康隆
  40. 黄金伝説 - 半村良
  41. 珍訳聖書 - 井上ひさし
  42. 闇のよぶ声 - 遠藤周作
  43. 男たちの経営 - 城山三郎
  44. 乗取り - 城山三郎
  45. ビヨンド・エジソン - 最相葉月
  46. 人工知能は人間を超えるか - 松尾豊
  47. 開眼! JavaScript - Cody Lindley
  48. 写真が絶対うまくなる デジタル一眼カメラ入門 - 鈴木知子

 

邂逅の森 - 熊谷達也

マタギの狩猟の仕方を克明に描いた職業小説かと思って読み始めましたが、すこし違っていましたね。マタギの世界に身を置く男・松橋富治の壮絶な生き様を描いた物語でした。厳しい自然と共に生きてきた日本人の魂や生きる力を描いているといったら良いのでしょうか。なんて言ったらいいかわからないけど、とにかく深い感動を覚えました。 最後のコブグマとの死闘は本当に圧巻でした。妻イクとの幸せな暮らしを願わずにはいられません。直木賞山本周五郎賞をダブル受賞したこの作品はやはりすごかった。傑作です。 

ちなみに「邂逅(かいこう)」とは、「思いがけなく会うこと、めぐりあい」という意味だそうです。

 

邂逅の森 (文春文庫)

邂逅の森 (文春文庫)

 

 

過ぎ去りし王国の城 - 宮部みゆき

アバターを使って絵の中に入り込むことができる、そんな不思議な絵を偶然手にいれた中学3年生の「尾垣真」。同級生の「城田珠美」との二人でどんな楽しい冒険を始めるのだろうかと思って読み始めたら、話は想像とは違う方向に。

ファンタジーとはいえ、扱っているのは、ネグレクトや校内いじめなど現代の日本が抱える社会問題。じつに宮部みゆきらしい作品で、グイグイと物語の中に引き込まれました。

結局「城田珠美」が抱える問題は解決しませんでしたが、一つのことをやり遂げ、彼女自身の心に変化が見て取れたラストよかったです。彼女が抱える問題は、誰かが手を差し伸べてくれたとしても、最終的には彼女自身が解決していくしかないのですから。

過ぎ去りし王国の城

過ぎ去りし王国の城

 

 

乗取り - 城山三郎

自炊してiPhoneで再読。

昭和20年代の高度成長期に実際に起こった百貨店乗っ取り事件をモデルにして創作された小説です。

旧態依然とした百貨店経営者側と株を買い占め乗っ取りを図る実業家青井との戦いを描いています。

地の利を生かしていないと憤慨し百貨店経営に執念を燃やす青井。彼の手段を選ばないやり方には共感はできませんが、それでも、彼の既成概念を打ち破ろうとするバイタリティと、敵に敢然と立ち向かう一途な姿に最後は思わず応援したくなります。

青井のキャラクター造形は、古臭いと感じますが、それを割り引いても十分に面白い作品だと思います。

 

乗取り

乗取り

 

 

孤剣―用心棒日月抄 - 藤沢周平

用心棒日月抄シリーズ2作目。今回も面白かったです。

1作目は忠臣蔵と絡ませて話が進む嗜好を凝らした内容だったけど、今度の作品は又八郎と佐知との静かな恋も絡ませ、娯楽性をより前面に押し出した感じです。

藩の重要な密命を受けていながら、明日の飯のために用心棒暮らしを強いられるという設定が実に良いです。緩急織り交ぜた話の展開が又八郎の魅力を引き出しています。

相模屋吉蔵や用心棒仲間の細谷らもいい味出してます。

大富静馬を討ち果たし、藩の危機を救った又八郎は、これで藩に戻れるのかな?

 

 

孤剣―用心棒日月抄― (新潮文庫)

孤剣―用心棒日月抄― (新潮文庫)