気ままな読書ノート

日本の小説を中心に読んだ本の感想を書いています。時々IT関連本や本の自炊の話題も。最近は自炊した書籍をiPhoneで再読することも多いです。

宮部みゆき

本所深川ふしぎ草紙 - 宮部みゆき

宮部みゆきの作品は、現代物も良いですが、時代物も良いですね。本所七不思議を題材にした7つの短編集です。下町の人情物に「ミステリー」という調味料を加えたこの短編集は、どの作品も感動的で、心の奥に迫ってくる語りは、さすが宮部みゆき、と思わせる…

鳩笛草 ―燔祭・朽ちてゆくまで - 宮部みゆき

「鳩笛草」「燔祭」「朽ちてゆくまで」という3つの中篇が収められています。この3編は、ともに、超能力者を扱った物語です。「龍は眠る」「クロスファイア」同様、超能力を持って生まれたがために苦悩する主人公たちに、感情移入せずにはいられません。特…

夢にも思わない - 宮部みゆき

「今夜は眠れない」の続編です。またもや雅男と島崎の中学生コンビが活躍するミステリー仕立ての青春小説です。5億円遺贈の次は、殺人事件と、そんな大事件に会うなんてあり得ないだろう、と思いながらも、物語の中に入り込んでしまいます。若い娘の売春問…

今夜は眠れない - 宮部みゆき

主人公の中学一年の少年・緒方雅男の母親宛に、ある男性から五億円が遺贈されます。このことがきっかけとなって、平凡な家族に危機が訪れます。この危機を乗り越えるべく、親友の島崎と共に、2人の活躍が始まります。宮部みゆきが描く少年の物語を読んでいる…

人質カノン - 宮部みゆき

長編もいいけど、短編も良いですね。まさに「山椒は小粒でぴりりと辛い」といった7つの作品が収められています。その中で一番好きなのは、「八月の雪」かな。片足の不自由な引きこもりの充少年が、おじいちゃんの過去を調べてゆくことで、生きる意味、生き…

龍は眠る - 宮部みゆき

なぜ、宮部みゆきの作品にこうも惹かれてしまうのでしょうか。きっと、それは、「こころ」を描く作家だからだと思います。うまく生きてゆくことができない人間がもつ悲しみ、苦しみ、悩み、迷い、そういったものを描かせたら天下一品ですね。この作品も「超…

クロスファイア - 宮部みゆき

生まれながらにパイロキネシス(念力放火能力)という特殊能力を持つヒロイン、青木淳子の悲しい運命を描いた名作。それにしても、最初の数ページで一気に読者を物語の中に引き込んでしまう宮部みゆきの圧倒的な筆力に脱帽です。本当に彼女(青木淳子)は、…

レベル7 - 宮部みゆき

「明日 レベル7まで行ってみる。戻れない?」女子高生が日記に残した謎の言葉。レベル7っていったい何? この謎が完全に僕の心を捉え、最後まで一気に読んでしまいました。ジグソーパズルのピースがひとつずつ繋がってゆき、一枚の絵が出来上がってゆくよ…

理由 - 宮部みゆき

ルポルタージュ形式といったらよいのだろうか、ちょっと変わった形式を採用したこの小説は、僕が読んだ宮部みゆきの作品の中では一番重い内容だったように思います。一家4人の殺害事件が徐々に徐々に解明されていくにしたがい、「家族っていった何なのだろ…

火車 - 宮部みゆき

いまさら、この本を紹介するまでも無いと思いますが、「火車」は、僕が読んだ宮部みゆきの作品の中で、最も深く心に残っている大好きな作品です。他にも宮部みゆきの作品には傑作と呼べるものが沢山ありますが、この本は別格扱いです。「カード社会が生んだ…