東京セブンローズ - 井上ひさし
日本語をこよなく愛する井上ひさしの傑作です。戦後、アメリカ占領軍は、日本語のローマ字化を画策します。この危機に、日本の7人の女性(高級娼婦)たちが立ち向かうという痛快なお話。
昭和20年当時の日本(おもに東京とその近郊)に様子や当時の人々の生活の様子などもよく書かれており、とても楽しく読めました。
この本、ふつうの小説と違うことろが2つあります。ひとつは目次がないこと。これは、根津の団扇屋の主人が書いた日記という形態をとっているからなのでしょう。日記とはいっても、とてもテンポ良い文章で、すぐに物語の中に入っていけます。
もうひとつは、旧漢字と旧仮名遣いの文章だということです。はじめはちょっと戸惑いましたが、漢字の苦手な僕でもだんだんとなれてきて、それほど違和感なく読めました。これは、作者の才能のなせる業なのだと思います。
外国語ができない僕がこんなことを言うのも変ですが、日本に生まれ、日本語を母国語とすることができて、本当に良かったなと、そう思える本です。
- 作者: 井上ひさし
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2002/04/10
- メディア: 文庫
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