気ままな読書ノート

日本の小説を中心に読んだ本の感想を書いています。時々IT関連本や本の自炊の話題も。最近は自炊した書籍をiPhoneで再読することも多いです。

米内光政 - 阿川弘之

僕は戦時中の人物についてはほとんど知らないので、この小説を読んで初めて「米内光政」('よないみつまさ'と読むのだそうです)という人物を知りました。三国同盟・日米開戦に最後まで反対した海軍軍人で、首相、海軍大臣を務め、終戦工作、ポツダム宣言受諾、海軍解体に尽力した人です。
小説は、細かな実際にあったエピソードをつなげて行く形式であり、ドラマ仕立てではないので、僕にとっては。ちょっと退屈でした。さらに、米内光政という人物が寡黙で何を考えているかを読み取りにくい人物ということで、なかなか感情移入できなかったのですが、最後の100ページ(全体で623ページ)ほどは、ググッと引き込まれました。
この本を読んで感じたのは、間違った信念というものが如何におろかで恐ろしい力を持っているか、ということです。そういった間違った信念にあふれているなかで、良識を貫き通した米内光政という人物は、欠点も多くあったと思いますが、第一級の人物なのだと思います。

米内光政

米内光政