気ままな読書ノート

日本の小説を中心に読んだ本の感想を書いています。時々IT関連本や本の自炊の話題も。最近は自炊した書籍をiPhoneで再読することも多いです。

かまいたち - 宮部みゆき

宮部みゆきの初期の時代物4編が納められています。
表題作「かまいたち」は、連続殺人犯(辻斬り)を目撃してしまったことから、事件に巻き込まれてしまう若い娘の心理描写が秀逸。
僕が一番気に入ったのは最も短い話である「師走の客」。最後に救いを用意してくれているあたり、宮部みゆきらしさが良く出ています。
そして、最後の2編「迷い鳩」と「騒ぐ刀」は、「霊験お初捕物控」の原型ともいうべきお話。霊能力を持ってしまったがゆえに、人の持つ悪意に触れ、それに立ち向かわなければならない少女の成長譚。
時代物というだけで敬遠してしまう人もいるようですが、宮部みゆきの時代物もとても良いですよ。

かまいたち (新潮文庫)

かまいたち (新潮文庫)