気ままな読書ノート

日本の小説を中心に読んだ本の感想を書いています。時々IT関連本や本の自炊の話題も。最近は自炊した書籍をiPhoneで再読することも多いです。

ポプラの秋 - 湯本香樹実

小学低学年の女の子(千秋)と、千秋が住んでいるアパートの大家のおばあさんとの奇妙な日常の交流を描いた心温まるお話し。
なにより、おばあさんが、やさしい物分りのよい年寄りなんかではなく、近寄りがたい、かなりの変わり者っていう設定がイイ。

挫折感を味わっている主人公の女性(千秋)の元に、18年前に知り合ったおばあさんの死の知らせが入り、その葬式に向かうことに。そこから、少女時代への回想が始まります。
少女時代の千秋も父親の死のショック、母のうつ状態、学校での孤立感などで、危機的状況。そこから徐々に立ち直ってゆく描写。そして、現在の千秋の心の動き。とても良いなと思いました。
これといって、大きな出来事や、はらはらドキドキの場面があるわけじゃないけど、ひきつけられました。
最後が、とてもさわやかで、前向きな気持ちになった主人公の心の動きがこちらに伝わってきます。
心静かに読みたい本です。

ポプラの秋 (新潮文庫)

ポプラの秋 (新潮文庫)