気ままな読書ノート

日本の小説を中心に読んだ本の感想を書いています。時々IT関連本や本の自炊の話題も。最近は自炊した書籍をiPhoneで再読することも多いです。

男子の本懐

昭和初期に金解禁という困難な政策に取り組んだ浜口雄幸井上準之助という二人の政治家の生き様を描いた小説。
日本は、第一次大戦時に「金本位制」を停止し、その後、歴代内閣が先送りしてきた難しい金解禁をやりぬく二人のエネルギーには、ただただ脱帽するのみです。
政治というものは、それが正しかったのか、正しくなかったのかは、すぐに答えが出るものではありません。金解禁を断行したにも関わらず、日本は、その後の情勢の変化から金輸出禁止に逆戻りしてしまったため、その判断はよけいに難しく、僕にはなんともわかりません。
しかし、彼等が命を懸けて日本経済の建て直しに取り組んだことは事実であり、日本の将来を考えてのことでした。その二人ともが、夢半ばにして銃弾に倒れてしまったのは、日本にとって大きな損失だったと思います。もし、二人がこの悲劇にあわなければ、その後の日本の歴史も変わっていたかもしれません。
経済に詳しくない僕にはちょっと難しい内容もありましたが、それでも、二人の信念をもった生き方に引き込まれました。

男子の本懐

男子の本懐