気ままな読書ノート

日本の小説を中心に読んだ本の感想を書いています。時々IT関連本や本の自炊の話題も。最近は自炊した書籍をiPhoneで再読することも多いです。

聖の青春

このノンフィクション作品はパワーがあります。
難病と闘いながら,29年の短い生涯を生き抜いた棋士・村山聖(さとし)プロの物語です。 発病する前の幼い頃から、生涯を終えるまでが丁寧にそして力強く描かれています。
子供時代にプロを目指すと宣言する情熱あふれる場面や、師匠森信夫プロとのさまざまなエピソードが印象的でした。

彼の人生は一言で言えば壮絶な人生です。常人にはまねできないような強い精神力で短い人生をプロの棋士として生き抜きます。
まさに病気との闘いであり、それでいながら、プロとして圧倒的な強さを維持し続けたその力はいったいどこから出てくるのか。「名人になりたい」その強い思いがあればこその力だったと思います。
結局、彼の夢だった「名人」には後一歩というところまで来ながら、病に打ち克つことができず、天国に旅立ってしまいましたが、その純粋で優しくひたむきな生き様には感動せずにはいられません。
頑張る勇気を、純粋な気持ちを呼び戻してくれるお奨めの一冊です。

聖の青春 (講談社文庫)

聖の青春 (講談社文庫)