気ままな読書ノート

日本の小説を中心に読んだ本の感想を書いています。時々IT関連本や本の自炊の話題も。最近は自炊した書籍をiPhoneで再読することも多いです。

悩む力 - 姜尚中

序章からの抜粋

本書では、誰でも具わっている「悩む力」にこそ、生きる意味への意思が宿っていることを、文豪・夏目漱石と社会学者・マックス・ウェーバーを手掛かりに考えてみたいとおもいます。

科学技術の発達や自由主義経済の発展は、人間の生活を便利にはしたものの、決して人間の幸福には結びついてない、自由ではあるけれど孤独感はますます募ってゆく。現代人ならば多くの人がそう感じているのだと思いますが、本書はその悩みは、すでに100年も前の近代化の時代に始まっていると説き、その解決のヒントを夏目漱石マックス・ウェーバーの著書に求め、「悩むこと」に生きるヒントを見出そうとしています。

どうしてわれわれ現代人は満ち足りた幸福感を味わえないのか、なぜ、孤独感にさいなまれるのかその説明になるほどと強く共感できるのですが、残念ながら、解決策の提示はしてくれません。そんな簡単な解決策などあろうはずもありません。それは、著者が言うように「悩む」ことで各自が答えを見つけてゆくしかないのだろうと思います。

この本では、夏目漱石の数々の作品を紹介いますので、来年は、そのなかから何冊かを読んでみようと思います。

悩む力 (集英社新書 444C)

悩む力 (集英社新書 444C)