気ままな読書ノート

日本の小説を中心に読んだ本の感想を書いています。時々IT関連本や本の自炊の話題も。最近は自炊した書籍をiPhoneで再読することも多いです。

眼の誕生 - カンブリア紀大進化の謎を解く

スティーヴン・ジェイ グールドの『ワンダフル・ライフ―バージェス頁岩と生物進化の物語』を読んだのはいつのころだったでしょうか?この『ワンダフル・ライフ』の日本語版が発行された(今は文庫本でよむことができます)のが、1993年ということだから、たぶん、その頃に読んだのだと思います。
その驚きというかわくわく感は今でもよく覚えています。
カナダのバージェス頁岩で発見されたカンブリア紀の化石からわかった「カンブリア紀の爆発」。節足動物を中心に様々な奇妙奇天烈な小動物が大量発生したそうです。
これは約5億前に起こった生命のビッグバンともいえるものですが、その生命進化の不思議に魅せられました。

そして、あれから16年後、再びその続編ともいえる『眼の誕生』を読みました。この本の存在は前から知っていて、読みたいとは思っていたのですが、やっと読むことができました。(いろいろ読みたい本があったものですから...)

『眼の誕生』では、なぜ「カンブリア期の爆発」が起こったのかを丁寧に解説しています。著者が提唱する「光スイッチ説」は、ものを見ることができる「眼」を持った生物の誕生が、淘汰圧なって、進化の大爆発が起こったというものです。言われてみれば当たり前すぎる説なのですが、まさにコロンブスの卵であり、この「光スイッチ節」しかあり得ないと思えるくらいの説得力をもって、証拠固めをしていきます。

一か月前に、宇宙のビッグバンを扱った本『宇宙創成』を読んだのでよけいに強く感じるのですが、古生物学の研究と天文学の研究というのはすごく似ているなという点が、ちょっと意外でした。
両方とも実際に直接手で触れたり目でみることができない対象に対して、仮説を立てその科学的な裏付けを取るために、最新の科学の力をつかうことで、実証してゆきます。「なんでそんな太古の昔のことがわかるのか?たんなる空想や想像ではないのか?」素人が当然持つであろうこの疑問に正しく答えてくれる良書だと思います。

眼の誕生――カンブリア紀大進化の謎を解く

眼の誕生――カンブリア紀大進化の謎を解く