気ままな読書ノート

日本の小説を中心に読んだ本の感想を書いています。時々IT関連本や本の自炊の話題も。最近は自炊した書籍をiPhoneで再読することも多いです。

弥勒の月 - あさのあつこ

小間物問屋「遠野屋」の若おかみ・おりんの溺死体が見つかった。安寧の世に満たされず、心に虚空を抱える若き同心・信次郎は、妻の亡骸を前にした遠野屋主人・清之介の立ち振る舞いに違和感を覚える。―この男はただの商人ではない。闇の道を惑いながら歩く男たちの葛藤が炙り出す真実とは。

内容(「BOOK」データベースより)

いやー、面白かったですね。
最初の数ページが退屈な小説ってとても多いのですが、最初の出だしから、すーっと物語の中に入り込めました。
そして、その後の展開も読者を飽きさせることなく、ぐいぐいと物語の中に引っ張りこんでくれます。
最後も余韻のある終わり方で、ページを閉じた後もしばらく物思いにふけってしまう作品だと思います。

文章も読みやすいし、登場人物も魅力的だし、僕の中では、今年読んだ中では一押しの作品です。
緊迫感のあるストーリーの中で、信次郎とその下で働く岡っ引きの伊佐治、性格の正反対の二人のやり取りがなんとも言えない柔らかさを演出していて良かったですね。

弥勒の月 (光文社時代小説文庫)

弥勒の月 (光文社時代小説文庫)