気ままな読書ノート

日本の小説を中心に読んだ本の感想を書いています。時々IT関連本や本の自炊の話題も。最近は自炊した書籍をiPhoneで再読することも多いです。

終末のフール - 伊坂幸太郎

「8年後に小惑星が落ちてきて地球が滅亡する」と発表され、世界はパニック状態になり、治安が大きく乱れます。その5年後、秩序がかなり回復した仙台の北部の「ヒルズタウン」の住民の生活を描いた連作短編集です。
未来が無い絶望的な状況で人々はどう生きて行くのか、そういった状況で幸せを感じることはできるのか、今を生きるとはどういう意味なのか、を静かに問いかけてくる作品です。
これが小説だと分かっているからかもしれませんが、不思議と穏やかで温かい気持にさせてくれる作品だと思います。
それぞれが、別々の物語なのですが、登場人物が別の物語にちょこっと顔を出すことで、人々がつながっているということを示してくれるのも良いですね。

終末のフール (集英社文庫)

終末のフール (集英社文庫)