気ままな読書ノート

日本の小説を中心に読んだ本の感想を書いています。時々IT関連本や本の自炊の話題も。最近は自炊した書籍をiPhoneで再読することも多いです。

砂の城 - 遠藤周作

随分前に読んだ本の再読です。
母が遺した「美しいものと、けだかいものへの憧れだけは失わないでほしい」という言葉の意味を探し求める若い女性の青春小説です。
どうしようもない男に惚れ、身をもち崩すおろかな女性と、まじめで常識的な主人公泰子との極端ともいえる対比が、効果的に「生きる」って何だろうと考えさせてくれます。
時代が昭和ということもあり、若い人のおかれた環境も違いますが、若いからこそ、苦しみ、悩むのは、変わりはなく、現代にも通じるお話だと思います。
泰子の母と青春時代を共にした恩地の「美しいものと善いものに絶望しないでください。」という言葉が心に残ります。

砂の城 (新潮文庫 (え-1-12))

砂の城 (新潮文庫 (え-1-12))