気ままな読書ノート

日本の小説を中心に読んだ本の感想を書いています。時々IT関連本や本の自炊の話題も。最近は自炊した書籍をiPhoneで再読することも多いです。

風の陣 天命篇 - 高橋克彦

風の陣の3巻目。
道鏡が政治の実権を握ってから、道鏡皇位に就こうとし失敗した道鏡事件までを描いています。
権力の座に就く人が誰に変わっても、腐敗してゆくのは、今も昔も変わらないってことを改めて思い起こさせてくれる作品です。

「風の陣」は、蝦夷たちの活躍を描いた作品かと思って読み始めましたが、これは、大和朝廷内の権力闘争を、蝦夷側の嶋足と天鈴から描いた描いた作品としてとらえるべきですね。

もちろん、嶋足と天鈴が主人公であり、かれらの活躍が描かれるですが、史実を変えずに物語を展開させようと思うと、その活躍の幅と結果は限られるのは仕方がないですね。それでも、物語の中にぐんぐんと引き込む力はさすがですね。
ただ、主人公たちの会話が多く、どれが誰の台詞か分からなくなりそうなのが難点といえば難点でしょうか。

風の陣 天命篇 (PHP文芸文庫)

風の陣 天命篇 (PHP文芸文庫)