気ままな読書ノート

日本の小説を中心に読んだ本の感想を書いています。時々IT関連本や本の自炊の話題も。最近は自炊した書籍をiPhoneで再読することも多いです。

魚舟・獣舟 - 上田 早夕里

5編の短編と、1篇の中編がおさめられています。
その中の「魚舟・獣舟」は、表題となっただけあり、その世界観や情景描写、心理描写、独特の雰囲気、どれもイイです。
そうきたか、というラストもなかかなのものだと思います。

中編の「小鳥の墓」も読み応えがありました。世の中の仕組みや大人の考え方に疑問を持つ年頃の青少年の心の動きが、未来都市という舞台設定とうまく絡み合い、効果的に効いていて、SFだからこその表現になっていると感じました。
この作品、小松左京賞を受賞した『火星ダーク・バラード』の番外編ということで、『火星ダーク・バラード』も読んでみたいと思いました。

他の4編も、独特の雰囲気があり、良かったです。ただ、全体的に暗めかなと思います。

魚舟・獣舟 (光文社文庫)

魚舟・獣舟 (光文社文庫)