気ままな読書ノート

日本の小説を中心に読んだ本の感想を書いています。時々IT関連本や本の自炊の話題も。最近は自炊した書籍をiPhoneで再読することも多いです。

こちらニッポン… - 小松左京

昔読んだのを再読しました。全く内容を覚えていなかったのでかなり楽しめました。

一夜にして、1億人の日本人が忽然と消えてしまい、消えのこった20数名の日本人が、異常な状況下で、どう行動するのかを描いたSF小説です。

私たちが当たり前だと思っている社会インフラがどれほど大切なのか、如何に多くの専門家の方々の努力の上に私たちの生活が成り立っているのか、そういったことを改めて思い起こさせてくれました。
昭和51年に書かれた作品ですが、古さを感じさせないのはさすがです。内容は今でも十分に通用するし、本作品の価値は全く下がっていないと思います。

ただ、ラストはちょっと苦しいかな。まあ、それを補って余りある面白い小説だと思いますが...

きっと今、この小説が書かれれば、『ループ』(鈴木光司)のような設定にしたのだと思いますが、昭和51年の時点では、さすがにそういった設定はいろいろな意味で難しかったと思います。
そんな理由付けなんか必要はないと思うのですが、本格的SF作家であるが故に、この荒唐無稽な設定に、なんらかの理由付けが必要だったんでしょうね。

こちらニッポン… (ハルキ文庫)

こちらニッポン… (ハルキ文庫)