気ままな読書ノート

日本の小説を中心に読んだ本の感想を書いています。時々IT関連本や本の自炊の話題も。最近は自炊した書籍をiPhoneで再読することも多いです。

ウィザードリィ日記 - 矢野徹

還暦を過ぎた翻訳者/小説家である著者のパソコン奮闘記。パソコンを買ってからの1年間を、現実と幻想をとりまぜて綴った日記です。安田均氏が書いた『SFファンタジーゲームの世界』という本を読んで、ゲーム「ウィザードリー」の存在を知った著者が、翌日にはパソコンを購入を決意し、ウィザードリーに明け暮れる好奇心旺盛さは、さすが、SF界の大御所です。もちろん、本業にもパソコンを使い、様々なワープロ/エディタを試し、何回も失敗を繰り返しつつ(ソフトとマニュアルの出来が悪いのがその原因なのですが)、上達していきます。いやー、本当にそのパワーはすごいし、パソコン黎明期だからこその熱気と興奮がここにはあります。
今から、24年ほど前に書かれた本ですが、当時のパソコン事情をとても興味深く読みました。

興味深かった言葉を以下に、いくつか抜粋してみます。

PCゲームのうち、思考ゲームが子供のみならず大人の考える能力をふやすことは間違いない。遊ぶことそのものが勉強になる時代がいま作られたのだ。

日本人経営者は難しく見えることが好きなのだろう。かつての戦争に負けた原因のひとつが、それなのに。

この馬鹿マニュアルめ、こういった文章は、文章の専門家に直させるべきだ。

NECの社長が一度、このマニュアルどおりにして、フォーマッティングしてみればいいのに。

プロテクトをかけると自分の首を絞める結果にならないのか?

ソフトを改良しないメーカーは、長期間にわたって使えないからと、そのうちお客からボイコットされるようになるだろうに。

コンピュータ一筋の郷地社長は、『(プログラマー35歳定年説)あれは大嘘 ... 60歳までは立派にやれる』.. では、僕は63歳だからだめなのですかと、言いたくなる。