気ままな読書ノート

日本の小説を中心に読んだ本の感想を書いています。時々IT関連本や本の自炊の話題も。最近は自炊した書籍をiPhoneで再読することも多いです。

聖痕 - 筒井康隆

現代文の中に古語や枕詞を多用した文章が異彩を放っています。
一つの段落が異常に長いのも特徴。随分前に、筒井氏が「」付きの会話でどんどん改行しページ数を稼ぐのはけしからん、というようなことをどこかで書いていたような気がしますが、その主張を徹底的なまでに実践していますね。 さすが筒井康隆。あの御年でここまでチャレンジングなことをするのは本当に凄いです。こんな文章を書けるのは筒井康隆しかいないと思います。

内容のほうですが、幼い頃に事件で性器を切り取られた性欲とは無縁の主人公貴夫の半生が描かれています。 最後に犯人と遭遇する場面は印象的でしたね。 その対局にあると思われる弟・登希夫がどんな大人になるのかにもとても興味があったのですが、こっちは意外と普通でした。

聖痕

聖痕