壁 - 安部公房
若い頃読んだ本を自炊してiPhoneで再読。
人間の孤独と不条理を描いたシュールな短編集。名前を失った男の話(S・カルマ氏の犯罪)、影を喰われて透明になった男の話(バベルの塔の狸)、人々が液状化してしまう話(洪水)など、奇妙きてれつな話だけれど、どれもユーモアと寓話性をもっていてとても興味深い。「魔法のチョーク」も良かった。
これらの作品が今から60年も前に書かれていることは驚きである。
ここから何を読み取るのか難しい問題だけれど、最後まで読んでしまう力がある。この柔軟な発想力の凄さに感心。たまにはこういった前衛的でシュールな作品もよい。
- 作者: 安部公房
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1969/05/20
- メディア: 文庫
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