気ままな読書ノート

日本の小説を中心に読んだ本の感想を書いています。時々IT関連本や本の自炊の話題も。最近は自炊した書籍をiPhoneで再読することも多いです。

八日目の蝉 - 角田光代

読み始めてすぐに主人公に感情移入。誘拐が犯罪だとわかっていても犯人の希和子に共感し、捕まらないでと思う自分がいました。

とはいえ、この犯罪の一番の被害者は、誘拐された乳飲み子の薫。第2部は大学生になったその薫の視点から物語が描かれますが、心に傷を負った彼女の姿に心が痛みます。なんとも切なくやるせない気持ちにさせられます。

それでもラストでは、過去の呪縛から解き放れ前に進もうとする薫が描かれていてほっとしました。薫とその子の幸せを願わずにはいられません。

はじめて角田光代さんの作品を読みましたが、その圧倒的な筆力に脱帽です。母親と子を繋ぐ愛と絆について考えさせられました。名作だと思います。

 

八日目の蝉 (中公文庫)

八日目の蝉 (中公文庫)