気ままな読書ノート

日本の小説を中心に読んだ本の感想を書いています。時々IT関連本や本の自炊の話題も。最近は自炊した書籍をiPhoneで再読することも多いです。

九月が永遠に続けば - 沼田まほかる

今まで読んだ事のない雰囲気をもった作品。
高校生の一人息子の謎の失踪してしまった母親の佐知子の不安な心情は痛いほど伝わってくるが、いろんなことが複雑に絡まりすぎて、ちょっと消化不良になりそうだった。
これほど複雑に愛憎が絡み合った人間関係は小説ならではと思うが、人の心の奥深い暗い部分の表現が凄いなと思った。過去も含め彼女の周りで起こる数々の悲惨な出来事に、読んでいるこちらの気が滅入ってしまったけど、きっとこれがこの小説の魅力の一つなんだろう。

後半の越智先生のカンザキミチコに対する台詞は違和感があったな。

ところで、タイトルの「九月が永遠に続けば」とはどういった意図があったんだろう。そこが知りたい。

九月が永遠に続けば (新潮文庫)

九月が永遠に続けば (新潮文庫)