気ままな読書ノート

日本の小説を中心に読んだ本の感想を書いています。時々IT関連本や本の自炊の話題も。最近は自炊した書籍をiPhoneで再読することも多いです。

震える牛 - 相場英雄

忘れかけていた食肉偽装事件を思い出すきっかけになりました。この小説を読み終わって(4/4読了)すぐに、「BSEの全頭検査終了へ 」のニュースが飛び込んできて、とても複雑な気持ちです。 もしここに書いてるようなことが今でも実際に起こっているとすると、ものすごく怖いですね。これを読んだ直後は、外食を避けたいそんな気分でした。

発生から二年が経ち未解決となっている殺人事件の捜査をしていくうちに、多くの社会問題が浮き彫りになっていく社会派ミステリーです。
大型商業施設と地方都市の疲弊という問題と、食肉の安全性という2つの問題を絡めたのは、話の流れから必然とも思えますが、個人的には、食肉の安全性という側面に重点をおいて書いてほしかったと思います。大型商業施設を敵視し過ぎなのと、文体がちょっと硬いのが気になりました。

とはいえ、社会問題に鋭く切り込んだ読み応えのある作品になっていると思います。登場人物達それぞれの役割がはっきりとしていたのも良かったです。読んでいて「これ誰だっけ」と混乱することが無かったです。

震える牛 (小学館文庫)

震える牛 (小学館文庫)