気ままな読書ノート

日本の小説を中心に読んだ本の感想を書いています。時々IT関連本や本の自炊の話題も。最近は自炊した書籍をiPhoneで再読することも多いです。

深い河 - 遠藤周作

遠藤周作の本を読んだのは何年ぶりだろうか。僕が、十代〜二十代にかけてかなりの作品を読んだものです。遠藤氏の純文学に分類される小説はあまりにも重いテーマを扱っているものが多く、しばらく敬遠していましたが、久しぶりに読んでみて、当初思っていた以上に物語の中に入っていくことができました。
僕が心を奪われた場面は、主人公の一人である美津子が聖なる河ガンジスに沐浴する場面です。そこで遠藤周作が彼女に語らせたのが次のよう台詞。、
「信じられるのは、それぞれの人が、それぞれの辛さを背負って、深い河で祈っているこの光景です」...「その人たちを包んで、河が流れていることです。人間の河。人間の深い河の悲しみ。その中にわたくしもまじっています」

余談ですが、僕が始めて読んだ遠藤周作の小説『おバカさん』の主人公ガストン君も登場しています。また『おバカさん』を読んで見たくなりました。

深い河 (講談社文庫)

深い河 (講談社文庫)